国内ではコロナ感染再拡大により、今月、緊急事態宣言の再発令に至っています。
そうした中、1月18日にANAから国内線の便数削減が発表され、1月26日にANAが2021年度の国際線の規模を、新型コロナウイルスの感染拡大前のおよそ半分に減らすと報道されています。さらに、ANAの決算が過去最大の赤字になる見通しや、CAさんの異業種への出向など、ANAを取り巻く経営状況が色々と報じられています。
そうした中、SFC修行僧にとっては、飛行機出張がなくなってしまうのでは?緊急事態宣言による移動宣言で年末までに必要なプレミアムポイントを獲得できるかな?と不安になってしまいます。
そこで、一度、昨年のSFC修行僧としては気になるANAの現在の状況について、ANAの復活を信じて報道内容を整理してみました。
ANA、がんばれ!!
ANAの経営状況
2021年1月20日、ANAは、2020年4~12月期連結決算で3,000億円強の経常収益の赤字(前年同期は1,225憶円の黒字)を計上する方向です。新型コロナウイルス禍での国際線旅客需要の落ち込みに加え、足元の感染再拡大による国内線旅客も減少のため、今後も厳しい経営環境が続きそうとのことです。
昨年10月時点での期末予測は5,100憶円の赤字であった数値が、3,000億円に変わっているのは、コスト削減や増資などの効果でしょう。しかし、過去最大と言われたリーマンショック直後の573憶円の赤字と比べてとてつもなく大きい数字であり、まだまだ厳しい経営状況と言えます。
GOTOトラベル効果の理想と現実
昨年の春に出張で飛行機に乗ったときのガラガラの保安検査場や空席だらけの機内は、初めて見る光景でした。昨年の後半はコロナ慣れやGOTOトラベルによる需要喚起はどのような効果があったのか?が気になり着目してみました。
GOTOトラベル事業は、国内観光需要を回復させるとともに、水際対策を徹底し段階的に出入国制限を緩和することで国際線の航空需要の回復をも図ろうとしていました。
GOTOトラベル事業は国内の航空需要喚起に相当の効果があったのですが、需要も回復してきた矢先に再度の緊急事態宣言。これによる航空需要の再度落ち込みは必至です。ただし、貨物事業で高額な電子機器やスマートフォンなどの運送が想定を上回っているという朗報もあります。
コロナ前の需要水準を基に、GOTOトラベル事業による航空需要の期待値と実績をまとめると次のとおり。
GOTOトラベル (2021.3期待値) | 実績 (2020.10~12) | |
国内線 | 7割 | 5~4割 |
国際線 | 5割 | 1割未満 |
備考 | 国内需要を喚起、 段階的な出入国制限を緩和 | 2021.1の再感染再拡大により低下は必至 |
注)数値はコロナ前の需要水準を基準とした航空需要の回復割合
ANAのコスト削減対策
ANAホールディングはこのコロナかに立ち向かい、2021年度の黒字化の実現に向け矢継ぎ早にコスト削減策を実施していっています。
それにより、2021年3月期には、変動費3910憶円、人件費などの固定費で1520憶円を減らす計画を立てています。
主なコスト削減は下記の通り。
1)保有機体の削減
大型機を中心に経年機35機を退役させる
導入が決まっているエアバスA380型機やボーイング777Xの受領を遅らせる。
2)利用者減に対応して利用機材を小型化することで燃料費を圧縮
3)2020年冬ボーナスゼロを従業員組合と合意
4)一般職の基本給削減(年収の3割減)
5)2022年度までにグループ全体で3500人程度の人員削減
6)2020年12月までに約10社100人程度を出港
7)来春までに社員の400人以上をグループ外企業へ出向
基本的には給与の大幅削減などで雇用を維持する方針とのこと。これにより、コロナ後の航空需要が戻った時にも、訓練された人材が確保できているので、反転攻勢が期待できます。
ANAとJALの違い
JALの現状とANAとの合併の可能性
国内の大手航空会社といえば、ANAとJAL。競合のJALの経営状況はどのようになっているのでしょうか?
JALの場合、以前、経営破綻をした際に、
・大型機の売却
・イベントリスクの大きい国際線の拡大抑制
・社員一人一人の経営感覚の向上
などがあり、2020年10月時点での、2021年3月決算は2,000億円程度の赤字で、赤字額は大きいもののANAに比べるとかなり赤字額は少なくなりそうです。
国内大手のANAとJALの合併は、独占禁止法の問題があるし、1社独占によるサービスの低下や、世界で最も高いと言われている国内線の運賃の下げ止まりなど、色々難しい問題があるようです。筆者としては、企業雰囲気の異なる2社に共存してもらい、切磋琢磨によりサービスの向上を図ってもらいたいものです。従って、筆者としてはANAとJALの合併はないと考えています。
JALとの辛い思い出
実は、前回のJALの経営破綻時にはJAL株を少し持っていました。しかも、JALの経営が危ないと報道されていたころ、JALを応援する意味と、まさか半国営のようなあのJALが経営破綻するはずはないとふんで筆者は、JAL株を買い増しした程です。
しかし、結果は皆さんご存知の通りで、紙くずに。経営破綻は恐ろしいです。
それ以来、筆者はANA派です。
世界の航空会社の状況
コロナ禍は日本のみならず、全世界を巻き込んでいます。
世界のエアラインも経営状況が厳しい中、国によりそれぞれ異なるようです。
〇「大韓航空(韓国)」は、同国2位のアシアナ航空を買収し、経営危機に陥っている航空2社を政府主導で統合することで生き残りを目指す。
〇「タイ国際航空(タイ)」、「アエロメヒコ(メキシコ)」、「LATAM航空グループ(ブラジル)」は、法的処理によりいったん経営破綻させたうえで、再建の道を探る。
〇「ルフトハンザ(ドイツ)」、「エールフランス(フランス)」は、政府系資本の融資などにより危機克服を目指す。
まとめ
・今回のコロナによるANAの経営への影響は、これまでの過去最大と言われたリーマンショック直後の573憶円の赤字の5倍以上であり、今後も予断を許さない状況。
・ANAもさまざまなコスト削減に取り組んでおり、コロナ終息後の反転攻勢を期待したい。
・はやくコロナが終息し、ANAプレミアムメンバーとして安心して海外旅行に行ける日を心待ちにしています。
今回は以上になります。
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